交通地理学の学界展望(2004年)
はじめに・学界展望とは?
世界には様々な学問(学び)の世界があります。これを「学界」といいます。その中のある程度、同じ学問を修めた人々がまとまって”学会”を成立させます。
学会は、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場であります。
この学界の1年間の展望をまとめたものが学界展望になります。
地理学界では、人文地理学会の会誌『人文地理』において学界展望を掲載しています。
会誌『人文地理』では,毎年第3号に「学界展望」を掲載しています。これは前年における人文地理学の動向を分野ごとにレビューするもので,他誌にはない特徴として好評を得ています。第59巻(2007)からは,「学界展望」で紹介した文献のリストを公開しています。
この学界展望に登場する論文をリスト化,筆者のコメントを簡潔にまとめなおしたものが本記事になります。
交通地理学の学界展望・2004年
執筆者情報
森本 泉(もりもと いずみ)
所属:明治学院大学国際学部国際学科専任講師
学位:博士(社会科学) - お茶の水女子大学,修士(地理学) - お茶の水女子大学
分野:観光地理学,ネパール地域研究
明治学院大学 研究者情報-明治学院大学 国際学部 国際学科 森本 泉
森本 泉 (Izumi Morimoto) - マイポータル - researchmap
学界展望情報
人文地理における交通地理学の分類:交通・観光
人文地理における学界展望掲載巻号:57巻3号(2005年)
付記:特記なし
学界展望文献目録
2002年の学会展望「交通・観光」で両者の研究分野が隔たりつつある傾向が指摘されていたが,今年は組み合わせこそ変わらなかったが順序が変わって「観光・交通」となった.この変化の背景として,観光現象の質的規模的発展に伴い関心や意識が高まってきたことに対して,地理学において観光研究が多様化してきたと同時に,地域研究をはじめ政治・社会や文化地理等他分野においても観光現象への言及が増加してきたことが挙げられよう.
交通研究の成果は以上の観光研究に比して少ない.
青木栄一(2004):鉄道史研究と『鉄道省文書』.歴史地理学,46-4.
鉄道史研究の手法について
三木理史(2004):『近・現代 交通史調査ハンドブック』古今書院.
地域研究の調査一般にも応用できる内容のものとなっている.
松本司(2004):祭祀空間と交通路 - 相模国北西部「鎌倉古道」の「三角辻」をめぐって.歴史地理学,46-1.
古代の交通路にみられる地名から祭祀空間の復元を試みている.
現状報告として1990年以降に相次いで開通した鉄道新線を紹介した「特集/鉄道新線開通」(地理49-8).
※ 論文タイトルのリンクは,J-stageのPDFファイル または 研究機関リポジトリに直接リンクしています.
※ リンクのない論文は,Web公開されていない論文です.Web公開されている様子がありましたら,コメント等でお知らせください.
交通地理学の学界展望(2003年)
はじめに・学界展望とは?
世界には様々な学問(学び)の世界があります。これを「学界」といいます。その中のある程度、同じ学問を修めた人々がまとまって”学会”を成立させます。
学会は、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場であります。
この学界の1年間の展望をまとめたものが学界展望になります。
地理学界では、人文地理学会の会誌『人文地理』において学界展望を掲載しています。
会誌『人文地理』では,毎年第3号に「学界展望」を掲載しています。これは前年における人文地理学の動向を分野ごとにレビューするもので,他誌にはない特徴として好評を得ています。第59巻(2007)からは,「学界展望」で紹介した文献のリストを公開しています。
この学界展望に登場する論文をリスト化,筆者のコメントを簡潔にまとめなおしたものが本記事になります。
交通地理学の学界展望・2003年
執筆者情報
小松原 尚(こまつばら ひさし)
分野:観光地理学,経済地理学
小松原 尚 (Hisashi Komatsubara) - マイポータル - researchmap
学界展望情報
人文地理における交通地理学の分類:交通・観光
人文地理における学界展望掲載巻号:56巻3号(2004年)
付記:特記なし
学界展望文献目録
サービス経済の進展に伴い,交通や観光の国民経済に果たす役割は一段と重要になっている.そのような状況を反映して,当該分野に関する人文地理学的研究成果も多数みられる.それらを
(1)都市の形成や機能との関連から論じたもの
(2)地域間ネットワークの形成に関するもの
(3)景観・環境と観光開発に関わるもの
に分けて,それぞれの研究動向を展望してみることにする.
→ 交通に関連する部分のみ抜粋
- 都市の形成や機能との関連
三木理史(2003):『水の都と都市交通-大阪の20世紀- (近代日本交通史9)』成山堂書店.
鉄道の都市形成に果たした役割に関する一連の歴史分析の研究が結実
松田敦志(2003):戦前期における郊外住宅開発と私鉄の戦略 - 大阪電気軌道を事例として.人文地理,55-5.
三橋浩志(2003):公共交通による歩いて楽しい中心商業地づくり.地理,48-4.
現状分析の実施
奥平理(2003):カナダ・ハリファクス港におけるウォーターフロント開発の現状と課題.地域地理研究,8.
輸送手段の変化にともなう港湾の再開発と都市整備との関連を追究
- 地域間ネットワーク分析
葛西大和(2003):近代の交通革命.『人とモノと道と・いくつもの日本III』岩波書店.
歴史的観点から,時間距離の短縮が地域の形成に及ぼした点を研究
阿部史郎(2003):工場立地条件としての高速道路の再評価 ‐ 首都圏周辺地域の事例から.経済地理学年報,49-1.
高速道網の整備に伴う工場立地の変化を分析
横山昭市(2003):上越地方の温泉地とリゾート開発地の変容と課題.愛媛大・人文学論叢,5.
上越新幹線の開通後の新潟・群馬の県境地帯の温泉地の変貌をまとめている
奥野一生(2003):『日本の離島と高速船交通』竹林堂.
本宮卓(2003):しまなみ海道開通に伴う地域社会の変容.地域地理研究,8.
離島地域の発展と交通との関連について論じられている.
溝尾良隆(2003):『観光学-基本と実践-』古今書院.
観光地の発展にとって市場との交通アクセスが重要な意味を持つことを指摘.
「地理」(48-2) では「特集/バス交通とくらし」を組み,鈴木文彦,大島登志彦,中牧崇,遠藤広正が興味深い論点を提起し,交通サービスの拡大の地域差にも関心がはらわれている.
※ 論文タイトルのリンクは,J-stageのPDFファイル または 研究機関リポジトリに直接リンクしています.
※ リンクのない論文は,Web公開されていない論文です.Web公開されている様子がありましたら,コメント等でお知らせください.
交通地理学の学界展望(2002年)
はじめに・学界展望とは?
世界には様々な学問(学び)の世界があります。これを「学界」といいます。その中のある程度、同じ学問を修めた人々がまとまって”学会”を成立させます。
学会は、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場であります。
この学界の1年間の展望をまとめたものが学界展望になります。
地理学界では、人文地理学会の会誌『人文地理』において学界展望を掲載しています。
会誌『人文地理』では,毎年第3号に「学界展望」を掲載しています。これは前年における人文地理学の動向を分野ごとにレビューするもので,他誌にはない特徴として好評を得ています。第59巻(2007)からは,「学界展望」で紹介した文献のリストを公開しています。
この学界展望に登場する論文をリスト化,筆者のコメントを簡潔にまとめなおしたものが本記事になります。
交通地理学の学界展望・2002年
執筆者情報
三木 理史(みき まさふみ)
所属:奈良大学文学部地理学科教授
学位:博士(文学) - 関西大学,修士(文学) - 関西大学
分野:交通地理学,歴史地理学
三木 理史 教授・博士(文学) | 教員紹介(文学部) | 大学概要 | 大学案内 | 奈良大学
三木 理史 (Masafumi MIKI) - マイポータル - researchmap
学界展望情報
人文地理における交通地理学の分類:交通・観光
人文地理における学界展望掲載巻号:55巻3号(2003年)
付記:特記なし
学界展望文献目録
かつて長い研究史を誇る交通地理学に対し,観光地理学は歴史が浅く,その亜流の1つのように見られていた.ところが,近年その傾向は完全に逆転しており,交通に軸足を置く者が「軒先貸して母屋を獲られた」嫉妬を感ずるほど地理学の観光研究は目覚ましい.そして,本展望でも観光は同じ第三次産業に属する交通と一括されてきたが,近年の観光研究の視角は山村や環境問題研究のそれに近く,研究の枠組自体が大きく変化して,両者は次第に隔たりつつあることが感じられる.
- 量的に寂しい交通研究
森正人(2002):近代における空間の編成と四国遍路の変容.人文地理,54-6.
移動手段の多様化と国内観光の流行した戦間期に着目して四国遍路の変容を論じて交通・観光両分野を架橋する
中牧崇(2002):群馬県藤岡市高山地区における交通の近代化と山村の変容.地理学評論,75-7.
山村研究で蓄積されてきた論点を深めている.今後交通研究の側に立った問題提起も期待される.
三木理史(2002):戦間期大阪市の都市膨張対応と交通調整.地理学評論,75-1.
戦間期の都市計画事業と交通調整の関係を論じた.
- 水運・水上交通
酒井多加志(2002):釧路港における港湾空間の発達過程.地学雑誌,111-1.
高荷久昌(2002):東京湾の港湾における環境施設の形成過程と地域特性.季刊地理学,54-2.
いずれも経済機能論先行の港湾研究に,各々景観復原と環境論の視角を加える意欲作かつ労作だが,機能論的研究で蓄積された論点との空隙の埋め方が今後の課題となろう.
松田千晴(2002):昭和初期の伊勢湾周辺地域における水運.岐阜地理,44.
三浦聡(2002):明治中期の岐阜県美濃地域における諸船の利用規定にみる河川利用.愛教大・地理学報告,95.
水運史の貴重な成果である.紙幅の関係で両分野共に多くの成果を割愛した.
※ 論文タイトルのリンクは,J-stageのPDFファイル または 研究機関リポジトリに直接リンクしています.
※ リンクのない論文は,Web公開されていない論文です.Web公開されている様子がありましたら,コメント等でお知らせください.
交通地理学の学界展望(2001年)
はじめに・学界展望とは?
世界には様々な学問(学び)の世界があります。これを「学界」といいます。その中のある程度、同じ学問を修めた人々がまとまって”学会”を成立させます。
学会は、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場であります。
この学界の1年間の展望をまとめたものが学界展望になります。
地理学界では、人文地理学会の会誌『人文地理』において学界展望を掲載しています。
会誌『人文地理』では,毎年第3号に「学界展望」を掲載しています。これは前年における人文地理学の動向を分野ごとにレビューするもので,他誌にはない特徴として好評を得ています。第59巻(2007)からは,「学界展望」で紹介した文献のリストを公開しています。
この学界展望に登場する論文をリスト化,筆者のコメントを簡潔にまとめなおしたものが本記事になります。
交通地理学の学界展望・2001年
執筆者情報
淡野 明彦(たんの あきひこ)
分野:地理教育,観光地理学,交通地理学
淡野 明彦 (Akihiko Tanno) - マイポータル - researchmap
学界展望情報
人文地理における交通地理学の分類:交通・観光
人文地理における学界展望掲載巻号:54巻3号(2002年)
付記:この年は取り上げるべき成果が少なく,交通分野は分類中の2割程度.
学界展望文献目録
交通に関してとりあげるべき成果は少ない.
稲垣稜(2001):名古屋大都市圏外部郊外における通勤流動の変化‐岐阜県御嵩町を事例に.人文地理,53-1.
日本のの大都市圏構造の変化に関する議論では,郊外,なかでもより内側の地域 (いわゆる「内部郊外」) における,中心都市通勤率の低下やホワイトカラー雇用の増加が指摘されている.「内部郊外」とよばれる地域の雇用成長の実態の解明には,「外部郊外」に居住する人々の動向に着目する必要があると考え,外部郊外に居住する人々の側から,通勤流動の変化,中でも内部郊外への通勤者数の増加がいかなる性,コーホートの人々によってもたらされたのかを明らかにし,その上でこうした人々の就業地・居住地関係の変化を考察.
郊外核の成長や大都市の多核化など大都市圏構造の変化に関する議論のなかで,今後さらに使用される用語の共通的な定義やデータの扱いを含めた分析方法の精緻化を図るべき研究分野である.
石澤孝(2001):北陸地方における高速道路網の整備と都市間連携.運輸と経済,61-11
高速交通網が整備された場合に地域内の都市間連携にいかなる波及効果がみられるかについて,上信越自動車道によって連結された北陸地方を事例として考察.都市間連携を捉える観点として,ビジネス的性格が強いとされる高速バス網の連携関係を検討している.高速交通網の整備とともに,主要都市間を連絡する高速バス網が拡大し,都市間連携の強化に道路環境の整備が大きく貢献し,地域間交流関係が大きく拡がったことが明らかに.
東名や名神といった幹線高速道路の開通以降に,インパクトスタディとよばれるこの種の研究が多く発表されたが,いまだに方法論的な吟味に欠けるきらいがあり,大都市部で深刻な状況にある道路の環境アセスメント問題をも含めて,議論の活発化に期待したい.
※ 論文タイトルのリンクは,J-stageのPDFファイル または 研究機関リポジトリに直接リンクしています.
※ リンクのない論文は,Web公開されていない論文です.Web公開されている様子がありましたら,コメント等でお知らせください.
交通地理学の学界展望(2000年)
はじめに・学界展望とは?
世界には様々な学問(学び)の世界があります。これを「学界」といいます。その中のある程度、同じ学問を修めた人々がまとまって”学会”を成立させます。
学会は、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場であります。
この学界の1年間の展望をまとめたものが学界展望になります。
地理学界では、人文地理学会の会誌『人文地理』において学界展望を掲載しています。
会誌『人文地理』では,毎年第3号に「学界展望」を掲載しています。これは前年における人文地理学の動向を分野ごとにレビューするもので,他誌にはない特徴として好評を得ています。第59巻(2007)からは,「学界展望」で紹介した文献のリストを公開しています。
この学界展望に登場する論文をリスト化,筆者のコメントを簡潔にまとめなおしたものが本記事になります。
交通地理学の学界展望・2000年
執筆者情報
池永 正人(いけなが まさひと)
分野:観光地理学,地域研究,山岳観光
池永 正人 (Masahito Ikenaga) - マイポータル - researchmap
学界展望情報
人文地理における交通地理学の分類:交通・観光
人文地理における学界展望掲載巻号:53巻3号(2001年)
付記:観光地理学がご専門のため,交通分野は分類中の4割程度.
学界展望文献目録
- 交通地理学分野の教科書的著作
神頭広好(2000):『駅の空間経済分析-3大都市圏の主要鉄道を対象にして』古今書院.
市場を考慮した鉄道駅に関する空間モデルを構築し,各路線の特徴を明らかに
林上(2000):『近代都市の交通と地域発展』大明堂.
明治時代以降の都市発展における交通の役割,交通基盤の整備と都市発展の相互関係を究明
- 鉄道交通
三木理史(2000):明治期大阪市の都市交通とその領域性‐市内交通機関市営主義の再考から.社会経済史学,66-3.
大阪市が市域の領域的枠組みをどのような空間的範囲として認識し,鉄道経営の展開を考察.
Siebert L.(2000):Rail Names as Indicators of Enduring Influenceof Old Provinces in Modern Japan.地理学評論,73B-1.
関東地方の鉄道会社・路線・駅の名称を研究
- 道路交通・自動車交通
今井英文(2000):高松市における支店の業務活動とその変化‐高速交通体系の整備との関係に注目して.新地理,48-2.
高速交通体系の整備が支店の業務活動内容におよぼす影響について考察.
石澤孝(2000):長野冬季オリンピック開設にともなう交通環境の整備と課題.運輸と経済,60-3.
東京から長野市へのアクセスや市内道路網の大幅な改善とは裏腹に,市周辺部における慢性的な交通渋滞の未解決を指摘.
魯誠寿(2000):大都市近郊におけるバス交通の発展要因とその空間的特徴‐神奈川県北部地域を事例として.経済地理学年報,46-1.
- 航空交通
塚田悟之・高田邦道(2000):等時線図による空港アクセスの評価.経済地理学年報,46-2.
※ 論文タイトルのリンクは,J-stageのPDFファイル または 研究機関リポジトリに直接リンクしています.
※ リンクのない論文は,Web公開されていない論文です.Web公開されている様子がありましたら,コメント等でお知らせください.
ラグビーワールドカップと熊谷のバス交通 -会場アクセス問題と解決法-
令和元年12月22日 朝日自動車久喜営業所にて撮影
多くの日本人に“ラグビー熱”をもたらせたラグビーワールドカップ2019。全国12会場で昨年9月下旬から11月上旬まで開催されていた。日本チームは今大会で初めてベスト8まで進出することができ、その試合の行く末に多くの人が注目した。観客動員数は170万人を超え、1試合平均4万人弱の観客が会場を訪れたことになる。これほどまでに大勢の観客を、会場までどのように運ぶかは大きな問題となった。
特に問題視されてきたのが埼玉県熊谷市。ロシア対サモア戦やアルゼンチン対アメリカ戦などの予選3試合の会場となった熊谷ラグビー場は、熊谷市北部の熊谷スポーツ文化公園内にあり、JR熊谷駅からも約4.5km、バスでおよそ15分の場所にある。ここでは以前から会場へのアクセスが問題とされてきた。
多くの観客が熊谷の街に取り残された
球技ライターの大島和人は「2019年は大丈夫か? 熊谷スポーツ文化公園のアクセス問題を考える」という記事を2017年9月にYahoo! Japan ニュースに投げかけた。当時サッカーJリーグ「浦和レッズ対鹿島アントラーズ」戦が開催されたのだが、試合後多くの人が会場に取り残されたのだという。観戦客は基本的に、熊谷駅あるいは臨時駐車場から会場までシャトルバスを使用することになっているのだが、この日は帰りのバス待ち行列が大変な長さになってしまい、多くのサポーターが終電の時間までに熊谷駅まで戻れず、会場や熊谷市街に取り残されてしまったのだという。
当時のサッカー大会の観客数が1万人強、ラグビーW杯ではこの3倍近くの観客が会場を訪れることになるが、これでは絶対に会場までのアクセスがパンクしてしまうと取り沙汰された。私もこの日は熊谷駅周辺におり、いつもより駅周辺に人が多いとは感じていたが、まさかこのような事態になっているとは翌朝この記事を読んで知ったのだった。
この日の出来事の問題点は2つある。まず、特に1つの道路に車が集中したことが大きい。熊谷駅や国道17号と会場を結ぶ道路にさいたま博通りと呼ばれる道路がある。ここに会場を訪れた人のすべての車が集中してしまったのだ。会場には当然ある程度の観客用駐車場が整備されており、シャトルバス以外で会場を訪れる人も多く居た。彼らが帰宅する際、大抵この道路を使うため、大渋滞が発生してしまった。その結果、シャトルバスは駅や駐車場までを往復するのに通常3、40分のところ、その倍以上の時間がかかってしまったのであった。
また、熊谷駅と会場を結ぶシャトルバスは運賃を収受する路線バス形式で運行をおこなっているため、シャトルバスを運行できる事業者が2事業者しかなく、供出できる台数も限りがあったことが、問題の拡大につながってしまった。
会場アクセスにおける臨時BRTの実施
ラグビーW杯の当日、熊谷市は臨時BRTを実施しアクセス問題に対する対策をおこなった。BRTとは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)のことで、バスを基盤とし、専用道路や専用車線を用いて大量輸送をおこなう仕組みのことである。熊谷市は、ラグビー輸送に関わる道路として、2019年4月にさいたま博通りから名称変更したラグビーロードを所定の時間、交通規制しバス専用道路とした。交差点の信号も埼玉県警主導のもと、すべて青に変更し、駅やシャトルバス乗り場と会場を片道10分弱で結べるようにした。
このほか隣の籠原駅と会場を結ぶシャトルバスや、羽生・森林公園・太田の各駅からの予約制バス、郊外の駐車場とのパーク&ライドなど、あらゆる輸送手段も用意されていた。最も利用者の多かったのは熊谷駅と会場を結ぶシャトルバスであったが、非常にスムーズな運行で、大島氏の言葉を借りれば、3万人近くの観客をしっかり“さばける”用意ができていた。
熊谷BRTの常設化にむけた動き
以前から、熊谷市はBRTの導入に向けて模索をおこなってきていた。今回のラグビーW杯での事例を踏まえて、BRTの導入に向けても一歩前進できたに違いないと感じている。あれだけの人員をスムーズにさばくことができたのだ。BRTやバス専用道路・専用車線の重要性に多くの人が気付いたようにも感じる。
かつて、群馬県の太田駅から新幹線の通る熊谷駅と武蔵丘陵森林公園を経由し森林公園駅まで伸びる「森林埼群軌道新線(仮)」という鉄道線を敷く計画があった。この路線が実現していれば、ラグビーW杯の輸送体系も変わった形で行われていたのかもしれない。
現在、この計画は下火ではあるが、バス専用道をこの区間に敷設し、熊谷BRTとして再計画してみるのもまたひとつ有効かもしれない。熊谷スポーツ文化公園と熊谷駅間の移動手段としてだけではなく、群馬県南部から埼玉県北部への縦貫的な移動として、確かに必要としている人が少なからずいるように感じる。
ラグビーW杯の日本開催は成功するのかと多くの識者は懐疑的に見ていたそうだが、日本中にラグビー旋風を巻き起こし、多くの日本人に“ラグビー熱”をもたらせた。大成功のうちに終わったといえよう。こうしたきっかけで生まれたさまざな成功事例や成功体験は、今後も活用できる体制をうまく整え、見捨てることなくしっかりと“再利用”してほしいものである。
(本文 2,093文字)
※ 大学院の課題で執筆したものを加筆修正なく公開しています.
※ 令和2年1月14日執筆・提出分
「瓜割の滝」 名水百選No.36 (福井県旧上中町)
暑い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
こんな暑い日には少し涼しい話題を。
今回は水のお話
ここがどこだかわかりますでしょうか?
そうです、名水百選にも選ばれている「瓜割の滝」なのです!
(タイトルにも書いてますね、ごめんなさい・・・)
瓜割の滝は福井県若狭町天徳寺にある湧水で、「飲める名水」として関西一円から人気のある場所となっています。
地域のちょっとした観光スポットって感じですね。
名前の由来は、あまりの水の冷たさに瓜が割れてしまったという伝説に由来しているらしいです。流量は4,500t/日。水温が年平均11.7℃という非常に豊富な水量と低温な環境を維持しております。
名水百選ってなにって方はこちらをご参照下さい(なおWikipediaから飛ぼうとするとリンク切れ起こしてます)。
まぁ簡単に言えば、昭和62年に現在の環境省が「名水である」と言われる水源を100か所選定したものです。
なお、福井県若狭地域だけでもこの瓜割の滝以外に1か所、鵜の瀬があります。
余談ですが、名水百選のほかにも新名水百選とも呼ばれる、平成の名水百選(同じ町内や隣の小浜市にもある)や、水の郷百選(国交省の選定で100以上ある)など、さまざまあります。
さて、ここ瓜割の滝は「緑とせせらぎに囲まれ活き活きとした共生田園のまちかみなか」として水の郷百選にも地域全体でちゃっかり選ばれております(笑)
(ちなみに旧上中町には「活きてるね、ほっとかみなか」とかいうスローガンもありましたが←)
そんな瓜割の滝、今上天皇・皇后陛下が皇太子の頃(S62年)に旧上中町に行啓の際に、お立ち寄りになり、献水をなさった場所でもあります。
(「有名です」と書こうとしましたが、よく考えたらそんなことしたら日本中有名になってしまうではないかと思いやめました)
このような古そうな説明書きが残る中で、1年前にはなかったものが立ち並んでいました。
それがこれ。
なんと、豊富な水量を生かして発電と水車を始めちゃいました。
そもそも、この瓜割の滝の湧水、天徳寺地区の水道水として活用されてきたのですが(沸かすの大変そう)、この度もっと活用しようとはじまりまして・・・
すこし行かない間に大きく変わっていくものですね。
これだから地理は(ry
さて、この瓜割の滝ですが、近年ちょっと状況が変わってきております。
1. 水量が格段に増えた
2. 水温が上がった
3. 来場者が増えた
何があった!?
いや、たぶん環境の変化等々何でしょうが・・・
いや、3番はいいんです、問題は1つ目と2つ目。
まず1つ目。
水量が増えた結果、今まで使っていた通路を閉鎖する必要性が発生し、別ルートを確保する必要性が出てきました(今日行ったら別ルートできてたけどさ)
いままで使用していた飛び石が水中に埋まっちゃったんですね。
そんなに降雨があったとか記憶してないんですがね・・・
たぶん山の形が変わったんでしょうなぁ・・・
ちょっと調査してみる価値はありそうです。
そして2つ目。
今まで触れると冷たくて、長時間は触っていられなかったんです。
それが去年、触った瞬間「ぬるっ」ってなりました。
異様に水温が上がってたんですね。
でも今年に入って少し水温が戻っていたので一安心。
でも去年なんであんなに温かったんや・・・
さてさて・・・
また昔の冷たさを取り戻しつつある「瓜割の滝」ですが、最近売店も新しくなりました。ぜひ一度来て、おいしくて冷たい水を飲み、その水で冷やされた野菜や葛饅頭などを堪能していってみてくださいね!!
ちょっとわかりにくい場所にあるのが難点ですが。